■ 免疫力の低下を見逃さないで!
あなたの免疫力をチェックしてみよう
テレビや雑誌などで、 「免疫力の低下が病気を引き起こす」とか「○○で免疫アップ!」いったフレーズを見聞きしたことがある人も多いはず。
ところで、 免疫力とは具体的にはどのようなものなのでしょう?
免疫力とは、 人が生まれながらにしてもつ体の防御システムのことです。
細菌やウイルスなどの病原菌をはじめ、 さまざまな外敵から自分を守るために人類が進化の過程で少しずつ身につけた仕組みです。
ところが近年、 免疫力の低下によって病気や体調不良に悩まされる人が急増しています。
免疫力は、 かぜなどの感染症だけに限らず、 がんやアレルギー疾患などさまざまな病気と深い関わりがあります。
健康維持のためには、 免疫力を高め、 その状態をキープすることが不可欠というわけです。
■ 体温の低下は免疫力が下がっているサイン
では、 さっそく自分の免疫力がどんな状態にあるのか、 確認してみましょう。
まず、 チェックすべきは「体温」。
ヒトの体内では、 生命活動を維持するために各種の【酵素】が働いています。
【酵素】が最も効果的に働きやすい環境は、 体の深部体温が37.2℃のときです。
深部体温は家庭では測れないので、 舌下やわきの下で自分の体温を測ってみるとよいでしょう。
舌下で測る場合で36.4℃以下、 わき下で測る場合では36.1℃以下のときは[要注意]のサインです。
これは、 深部体温が【酵素】が働くうえでベストな37.2℃よりも低いことを意味しており、 体内での各【酵素】の働きが悪くなって、 免疫力が低下していることを示しています。
■ 血液検査でわかる白血球数も免疫力の指標
もう一つ、 免疫力の状態を知る重要な手がかりとして「白血球数」があります。
白血球は、 赤血球や血小板などと同じく血液成分の一種で”免疫の要”ともいえる存在です。
白血球にはさまざまな種類があり、 大きく次の3つに分けられます。
・マクロファージ(Mono):
最も古い免疫細胞で、 すべての白血球の原型。 大型の細菌などの異物を丸飲みして消化する。 白血球全体の3〜5%を占める。
・顆粒球(Neutro, Eosino, Baso):
主に好中球、好酸球、好塩基球などの種類がある。 白血球の最大勢力で、54〜60%を占める。 体内に最も多く侵入する細菌に対抗する役割をもつ。
・リンパ球(Lympho):
主にNK細胞、B細胞、T細胞で構成される。 進化の過程で新しく獲得してきた免疫。 白血球全体の[35〜41%]を占める。
自分の免疫力の状態をより詳しく知りたい場合は、 血液検査を受けて白血球数やその内訳( 白血球分画ぶんかく(%) )を調べる必要があります。
目安としては、 白血球の総数が4000/μl以下なら免疫力の低下が疑われます。
ただ、 やせ型の人は少ない傾向があります。
また、白血球のうちリンパ球の割合(リンパ球比率)が30%以下のとき、 あるいは逆に50%以上と高すぎる時も[要注意]です。
■ 体温とリンパ球比率から起こりやすい病気がわかる
例えば、 体温が36度以下で、 リンパ球比率が白血球全体の30%以下になると免疫力が低下し、 糖尿病やがんなどのリスクが高まります。
反対に、 リンパ球比率が50%以上になると免疫反応が過剰になり、 花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患を起こしやすくなるのです。
新潟大学名誉教授 安保 徹

(*「安保徹の免疫力を上げる45の方法」(2015年) 安保 徹 著 学研 より〜 引用)